江藤勲ディスコグラフィ補遺

『月刊てりとりぃ 号外』(令和元年12月6日発行)より転載

 

 2015年4月25日に急逝した江藤勲。彼のオフィシャル・ホーム・ページ「江藤勲のホームページ」では、「オレンダーを聴く100枚」と題して、代表作100曲が掲載されている。これは、まず最初に筆者(ガモウユウイチ)が参加作品をピックアップ、江藤勲が確認をして掲載という手順を取っていた。ただし、最初のピックアップの時点で漏れてしまうと、その楽曲は漏れたまま掲載されることないままになってしまっていた。この「オレンダーを聴く100枚」は2012年に原稿を執筆したのだが、それから約7年。その間に、関係者の証言などから、江藤勲が担当していた楽曲が新たに判明したので追記をしたい。

 ・南沙織「17才」(71年)

 南沙織のデビュー曲で、オリコン最高第2位を記録。8ビートの楽曲では珍しい、コード・トーンを分散したベース・ランニングを聴くことができる。サビで、ルート中心のベーシックなフレージングになりながらも、サビ後半ではまたランニング・フレーズに。ほかにも南沙織では、「潮風のメロディ」(71年)、「ともだち」(72年)などのベースも担当している。

・ちあきなおみ「喝采」(72年)

 ちあきなおみの13枚目のシングルで、オリコン最高第2位を記録。72年の日本レコード大賞を受賞、73年の年間ランキングでは第4位を記録した彼女最大のヒット曲。ここではルート中心のフレーズだが、サビでは細かな16分音符を組み込むなど個性を発揮。2番サビで一瞬音が途切れるのはミスか。ほかにも ちあきなおみでは、「雨に濡れた慕情」(69年)、「四つのお願い」(70年)などでもベースを担当している。

・麻丘めぐみ「わたしの彼は左きき」(73年)

 麻丘めぐみの5枚目のシングルで、オリコン第1位を記録。彼女の楽曲の中で唯一の1位獲得曲。シャッフルというよりも4ビートのノリのリズムのベース・ランニングで、推進力たっぷりにスウィングする。サビ部分ではコード・トーンから外れたポピュラー音楽では攻めた音使いをしている。ほかにも麻丘めぐみでは、「芽ばえ」(72年)、「女の子なんだもん」(73年)などでもベースを担当している。(ガモウユウイチ=音楽ライター/ベーシスト)

江藤勳が手にするのはPaco1977復刻オレンダー

「あの頃の自分が蘇って来た」